2014年5月22日

5月市会 代表質問を終えて

5月市会の代表質問が終わりました。
未婚のシングルマザーへの支援など、答弁はちょっと物足りない部分もありましたが、議論の積み重ねで少しずつでも前に進めていきたいと思っています

質問と答弁の概略はとりまとめてからあらためて報告いたしますが、まずは質問の全文を公開いたします。

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【5月市会代表質問】

1.人口減少社会への対応について
私は北区選出の片桐直哉でございます。民主・都みらい京都市会議員団を代表いたしまして、小林あきろう議員に引き続き、市政一般について質問をさせていただきます。市長、ならびに理事者の皆様には、明確な御答弁を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
人口減少社会、これが今後の日本の抱える最大の課題と言ってもいいすぎではありません。財政も、社会保障も、経済も、今日私たちが市会で議論している課題の多くは、人口減少、特に子どもと働く世代が減り、高齢者が増えているという年齢構成の変化が要因になっています。

さる5月8日に、有識者団体日本創生会議より深刻な推計が出されました。2040年に、全国の半数の自治体で、子どもを産む人の大多数を占める年齢である20代30代の女性の人口が50%以上も減少し、将来的に消滅の可能性のある自治体となるという推計です。
これまでも同様の指摘はありました。しかし、どこか遠くの過疎の自治体の話であり、この京都市でも、同じような状況になるという危機感を持つ人は少なかったのではないでしょうか。

この推計では、京都市においてもっとも減少率が高い東山区では47.7%。
私の選挙区である北区では市内で3番目に高い45.9%と推計されています。決してどこかの過疎の自治体の話ではありません。非常に深刻な状況でありますし、少子化対策をどうするのか、結婚する若者をどう増やすのかということだけに焦点を当てて議論をすればいいという話ではなく、この社会のかたちをどう変えていくのかという議論が必要だと思っております。

少子化対策の効果があらわれ、出生率が上昇したとしても、今後何十年かは人口が減っていくこと、年齢構成が大きく変わっていくことを避けることはできません。その影響を受けて、経済の落ち込みや、社会インフラのミスマッチや、それこそ人の住まない地域ができてしまうことといった、社会の姿が大きく変わっていくという危機にどう対応していくのかということを考えておかねばなりませんが、京都市として今から取り組んでいかなければならない課題は何であるとお考えか、まずご認識をうかがいたいと思います。


2.介護基盤としての居宅サービス・地域密着型サービスの充実について
続いて今後増えていく高齢者の介護についてお聞きします。

東京オリンピックの行われる2020年、オール京都で日本文化・芸術を世界に発信していこうというその年に、京都市に住む75歳以上の人口は現在の17万人から6万人増え、23万人と推計されています。
14歳以下の人口は17万人だったものが15万人と約2万人の減少、15歳~65歳は93万が87万人と6万人の減少で、高齢者の数だけが増えていくことになります。
2010年で3万8千人いた独居の75歳以上の高齢者は、いまと同じ割合だと仮定しても2020年には約6万人に増え、認知症の高齢者の数も、高齢者の絶対数が増えるわけですから、当然ながら増えていきます。これらを私たちは必ずおこる事実として認識しなければなりません

そうした方々を支える介護について、これからもっと深刻な課題となってくるのが、家族の介護による離職です。働く世代が減ることが社会的な問題となっている一方で、40代後半から60代の人たちが親の介護のために、まだ働けるのに仕事をやめざるをえないという状況が生まれおり、すでに毎年日本全体で10万人以上の人が介護を理由に離職しています。いま介護受けている世代には子どもの数も多かった方が多く、兄弟間で助け合って親の介護を支えられているところもありますが今後はほとんどの高齢者は子どもが1人か2人しかいないという時代になります。介護を兄弟で分担しあうことも難しく、子どもが仕事をやめて親の介護をするしかないという人が増えていくわけであります。これは働き手が少なくなる社会にあって大きな損失でもあります。

そうした状況を生まないためにも、介護の基盤整備はこれからますます重要であります。施設をつくるにあたっての土地の取得が非常に大きな負担であることや、高い基準で居室面積を定めてきたことなど、厳しい環境にあっても、高齢者人口あたりの介護老人福祉施設など介護保険3施設の定員数でみた場合は、京都市ではその充実がはかられてきました。

一方で、居宅サービスと地域密着型サービスについては、一定の課題があり、さらに充実の取り組みをすすめていく必要があります。

今後、高齢となる方が増え続け、認知症高齢者の増加や介護の重度化が見込まれる中、住み慣れた家や地域で暮らしていくことのできる居宅サービスや地域密着型サービスの役割は重要であります。全体のサービス供給量が足りていても、そのなかで事業所の数が少なければ、地域の中でより自分にあった介護サービスを選んで利用するという選択肢が限られることも考えられますので、新規の参入も促しながら、さらに事業所を増やしていくことを求めておきます。

今年度は第5期長寿すこやかプランの最終年度にあたり、来年度からの計画を策定していく年度でもあります。今後次期計画の検討の中で居宅サービス、また地域密着型サービスについてより充実をはかっていくとともに、今後予定されている介護予防サービスの見直しにおいても、利用者の実態とニーズを把握し、進めていくことが重要であると考えますがいかがでしょうか。お考えをお聞かせください。


3.管理不全の空き家に対する条例に基づく対処について
次に、空き家の問題についてお聞きします。独居の高齢者の増加、また子どもをもたずに高齢化する人も増えている現状のなか、今後も長期にわたって人が住まず、放置される空き家が増えていくことが予想されます。

そうした中、市会でも多くの議論がなされ、「京都市空き家の活用,適正管理等に関する条例」が4月1日から施行されました。体制も整備され、総合的な対策の推進がはじまったところであります。本質的には人口減少社会においては、住宅としての需要が今後増えていくことはありませんし、一方で新しい住宅建設は続くわけでありますから、必然的に空き家は増えていきます。発生抑制や空き家の流通促進・活用などについては、住宅用としての用途以外の活用方法ついても考えられている条例でありますし、町家などについて建築基準法のもとで、できることを最大限示して活用をはかろうとされているところですので、その点についてはこれからの取組みの成果を注視していきたいと思っております。

一方、早急に取り組んでいただかなければならない課題が、すでに周辺に悪影響を及ぼしている空き家をどのようにしていくかということであります。

条例施行後、「管理不全状態の判定等に関する基準」もしめされています。条例では空き家が管理不全状態と判定された場合に、段階に応じて「助言・指導」「勧告」「命令・氏名等の公表」「過料の徴収」といった対応が定められていますし、それでもさらに条例違反が続く場合には行政代執行の手続きに移ることになります。

すでにいままでに通報のあった約200件の空き家のうち、危険性があって監視が必要な51件について調査をしておられるとお聞きしておりますが、それらのうち管理不全状態で速やかな対応が必要と判断されたものの解消をいつまでに行うのかということが重要であります。

条例に基づく指導や勧告・命令等によって、所有者が除去など適切な対応をとっていただければそれでよいわけですが、様々な事情のなかで所有者が対応できない状況にあったらからこそ放置されてきた空き家であり、なかなか対処のすすまないものもあろうかと思います。そうした場合に、行政として指導を続けて、結果として2年も3年も今と同じ管理不全な状態が続くということは、近隣の安全や地域の環境、条例の実効性の確保という点から見て好ましくありません。

先行して空き家の対策条例を制定した自治体においても、実際に代執行による除去を行ったケースはごくわずかでありますが本市においては違反状態の改善が見込めない場合は公益を守るために代執行も躊躇せずにしっかりやっていくという決意をお示しいただきたいと思いますがいかがでしょうか。緊急度の高い管理不全の空き家の除去について、いつまでに解消をはかるという目標を持って取り組んでいかれるか、明確にお示しいただけますか。


4.北山三学区など北部山間地域への移住支援について
次に、北部山間地域への移住支援についてお聞きします。冒頭、若い人が大幅に減るということについて質問いたしましたが、行政区単位で4割を超える減少でありますから、高齢化と人口流出の著しい北部山間地域、北区でいえば小野郷・中川・雲ヶ畑、左京の花背や久多、広河原、右京の京北などにおいては、人の住まない家が増えるというレベルではなく、地区そのものに人が住まなくなってしまう可能性もあります。私には人口減少によって都市全体がコンパクトにまとまれば、そうした場所には人が住まなくなってもいいとは思えません。これは京都市全体の姿が変わっていく、非常に大きな問題ですし、林業振興や道路などインフラ整備をするだけで高齢化による人口減少や人口流出を食い止められるものではないと思っています。

北区の北山三学区については、まちあるきやワークショップ、話し合いを経て今年の3月に「北山三学区まちづくりビジョン」が策定されました。その中では、地域との交流を通じて地域を好きになった方、つまりIターンの新規の定住を促進していこうというビジョンが示されています。

具体的な取り組みとして検討されていることは、地域の空き家情報の提供などになるわけですが、特に今後の人口減少が顕著になる北部山間地域での移住促進については、京都市全体としての情報発信や、より具体的な移住希望者への支援をしていくということも検討していくべきではないかと考えますがいかがでしょうか?


5.未婚のシングルマザーへの寡婦控除の見なし適用について
最後に子育て環境日本一を掲げて進められてきた、本市の子育て政策に関連して、いままであまり議論になっていなかった未婚のシングルマザーに対する支援についてお聞きします。平成22年10月の国勢調査によれば、京都市には20歳未満の子がいる母子世帯が1万2771世帯で、うち2261世帯は結婚をしていない未婚世帯です。さらにそのうち祖父母などとも同居をしていない母子のみで暮らす未婚の母子世帯は1613世帯あります。私はこの数を見たとき、想像していたよりもずっと「多い」と感じました。母子のみで暮らす世帯の約17%が法律上の結婚をせずに子どもをもうけたシングルマザーだということです。そして、調査があった平成22年からみて、いま現在ではより増えているということが想定されます。

こうした未婚で子どもをもうける世帯が増えてきているというのは、日本全体で現在起きている状況でありますし、先進諸国において共通した傾向となってきています。そのことをどう認識するか、家族の形の多様化をどうとらえるかということについては、非常に難しい課題でありますし、今日はそこまでの議論はいたしませんが、子どもを育てる、子どもが育っていくということを、子どもの目線で考えた時に、親が結婚して子どもを産み、その後、離婚や死別により母子世帯となったか、それとも結婚をせずに子どもを産んだかによって、差がある現状は変えていくべきではないかと思うのであります。

本市においては、すでに「ひとり親家庭等医療費支給制度」では「婚姻せずに親となり,現在婚姻していない方」を対象にして、同じ取扱いをしています。

一方で、扱いが異なってしまうところもあります。配偶者と死別や離婚をしたひとり親家庭については、税制上の寡婦控除などの措置がとられ、その所得額に応じて保育所や幼稚園の入園料・保育料などが計算されています。しかし、同じひとり親でも、婚姻歴のない場合は寡婦控除の対象になりません。控除がない分、納税額が増え、税額に応じて負担する保育料なども重くなっています。

この状況を改善していくためには、本質的には国において税制上の寡婦控除の考え方を見直していただくことが必要でありますが、自治体の単位でできることがないということでもありません。保育料に関していえば、寡婦控除を未婚の世帯にも「みなし適用」することで、軽減をはかっている政令市は現在8つあり、また本年度よりさらに2都市で実施が予定されています。すでにみなし適用をおこなっている自治体の例でみれば、それほど大きな財政負担をともなうものではありません。

また本市も参加する大都市民生主管局長会議の要望のなかでも、国に対して非婚母子世帯にかかる寡婦控除のみなし適用にかかる保育料の軽減に関して、必要な措置を求めています。

子どもは親を選ぶことはできません。親が結婚して子どもを産んだかどうかで、子どもに不利益があるべきではありません。京都市においても、まずは保育料について、この寡婦控除のみなし適用をしていくべきであると考えますがいかがでしょうか。お考えをお聞かせください。


以上ここまでお聞きしてきました。
2月市会で制定した京都市会基本条例の第3条の3および4には、「執行機関ではなしえない政策立案および政策提案を行うこと」「市長等との議論を通じてよりよい政策および施策の実現につとめること」が書かれています。今回の議論だけでなく今後も議論を重ねながらよりよい政策の実現をめざしていきたいという決意を申し上げ、私からの質問といたします。ご清聴まことにありがとうございました。