2011年10月28日

地域コミュニティ活性化条例の修正

10月28日、今日は9月市会の討論結了日です。
討論結了というのは各会派が議案への賛否を決める日です。
朝から断続的に議員会が開かれました。

今回の一番大きなテーマは
「地域コミュニティ活性化条例」の取り扱いでした。
もちろん趣旨は反対するものではないのですが、
私は本来自主的な活動である地域コミュニティの活動が
義務的なものとして市民にとらえられることに懸念を持ちました。
民主都みらいの会派の議員の中にも同じような考えの方がおられて、
他会派との話し合いを経て、修正案を共同で提案することになりました。
31日月曜日の本会議で修正案が可決される見込みです。

私は議員になる前から、市長提案をそのまま承認するだけの議会ではいけないと訴えてきました。
議案について、議会の審議の中で多角的に議論され、そしてよりよいものに修正される。
市長提案の条例案の修正は十数年ぶりらしいのですが、
京都市会がよりよい方向に変わってきていることを感じます。

2011年10月27日

決算委員会市長総括質疑

10月21日、決算委員会の市長総括質疑で、分科会での質疑をふまえ
以下の内容を質問しました。
市長総括とは、決算について市長や副市長に対して、本会議場で質問するもので、
代表質問とは違い、一問一答になっています。


○京都の三山の景観保全ガイドラインについて
(質問)このガイドラインを活かしていくために、今後、市としてどう取組んでいくのか。
(答弁)目的は三山の再生である。出来るだけ多くの人に使ってもらう。企業が森を守るシンポジウム、NPOや企業がやっているもののマッチング、自治会の取組みもワークショップをやって具体策にしていくなど三山の再生に取組んでいく。

○山の資源の活用について
(質問)木質ペレットの活用について今後どのように進めていくのか
(答弁)木質ペレットの活用については今のところなかなか進んでいない。企業などへのはたらきかけをすることや、市民に対してセミナーなどを行い使用拡大につとめていく。

○保育の施設整備について
(質問)将来の需要予測に基づく、整備が必要ではないか。今後どのように整備していくのか
(答弁)分園や定員外を受入れなどやってきた。どんどん園をつくり、維持していく財源はないのでどのようにやっていくかは課題である。今後しっかり検討していく。

(質問)企業内保育所や認可外保育所などのところも活用していってはどうか。
(答弁)多様な形でニーズに応えることが大事。どう関っていくかは検討したい。

○業務委託について
(質問)旅館開業の相談業務、学校給食の配送業務など委託のあり方を検討していく必要であると考えますがいかがですか。
(答弁)保健センターでやる業務だと思いますが相談業務に割く時間がないのでできるだけ事前に相談した結果きていただいた方が区役所にとってはいいのでやってきた。今後見直しを含めて検討していく。学校給食の配送業務については今後ご指摘も含めて給食協会とも話していく。

感想ですが、特に私が取り上げた業務委託のあり方について、見直していくという前向きな答弁がいただけたと思います。
京都市の政策をどうして行くかという大きな議論がより重要であることはもちろんですが、
一つ一つのお金の使い方をチェックするという議会のチェック機能もまた重要です。
その部分も、しっかり取り組んでいきます。

10月17日 決算第二分科会 病院会計

決算第二分科会の最終日は、市立病院の決算についての質疑でした。
市立病院は今年の4月から独立行政法人化されているため
市会で決算の審議をするのはこれが最後になります。

私は病院での治療費の未納の状況について質問しました。
答弁で、京都市立病院では累積で1億6000万円以上の治療費が焦げ付いていることがわかりました。
京都市の場合は未納の理由は、多くは生活困難などですが、他の自治体でも最近は悪質な未納や踏み倒しが増えています。
悪質なケースには毅然と対応するように求めました。

あわせて、病院に芸術作品を展示して患者の心の癒しを充実させて欲しいという要望や
遺族へのグリーフケアについて研究して欲しいと要望しました。

他の議員からは
・独法化後の事業の見通し
・京北病院の医師確保
・今後の交付金の見通し
・院内の余裕スペースを使ったテナント収入の確保
などが質問されていました。

2011年10月26日

京都未来まつり2011

23日は京都未来まつり2011に参加してきました。
http://kyoto-machiza.jp/archives/2608

これは私も事務局を務めていた京都市未来まちづくり100人委員会が主催となり、まちづくりに関心のある市民が明日の京都について語り合うというコンセプトのもと、開催したイベントです。
当日は、32のプログラムが用意され、まちづくりについて議論する場もあれば、過去の100人委員会での取り組みをパネルで紹介する展示、妊娠中の女性を体験しながらのパレードなど、まちづくりを多様な視点から捉えており、考える機会となりました。

私もいくつかのプログラムに参加しましたが、中でも興味深かったのはポートフォリオカフェという新しいまちづくりを語るプログラムです。
各テーブルにて「これからの京都に必要なまちづくりのカタチとは?」をテーマに話し合い、門川市長や山崎亮さん(studio-L代表)、亀和田俊明さん(宇都宮プライドプロジェクト)、松野智義仁さん(イマジン・ヨコハマ)へ提案。その提案を受けて、壇上のゲストの方々でパネルディスカッションという形式で行われました。

参加者がグループでまとめた多くの提案が発表されていましたが、私がこれまでも議会などで主張していた町家・空家を使った場づくりを提案されているグループもあり、
これからさらにがんばって実現させていかなければならないなと感じました。

2011年10月25日

第9回そらたね祭

10月22日、雨の中でしたが、そらたね祭を今年も開催しました。
今年は議会の仕事でなかなか手伝えなかったのですが、
若い実行委員みんながとてもがんばってくれました。

夕方から降りだした雨で、私が担当したステージは
ゆっくり見ていただけなくなりましたが、
雨が降り出す前に、パレードや路上ステージはできました。

毎年、関わるメンバーの変わっていくこのそらたね祭ですが、
今年参加してくれた新しい学生が新大宮商店街に根付いてくれると
いいなと思います。

これからの課題は
そらたね祭をどうやってイメージづけしていくか、
商店街を生かした場作りをどう広げていくかにあると思っています。
来月には、商店街の夜店も始まりますが、
そうした手作りの企画に、そらたねで育んだノウハウが生かされていけばいいと思います。

2011年10月18日

10月14日決算第二分科会 建設局

連日続く決算分科会の5日目は、建設局に対する質疑です。
この日は、自転車政策や治水対策、国事業直轄負担金について質問しました。

治水対策については、主に桂川や宇治川の洪水対策への市の関わり方について取り上げました。
これらの一級河川は国土交通省が管理しています。
上流の日吉ダムや天ヶ瀬ダムの放流の権限は国土交通省が持っているのですが、
非常災害時に、対応が全て国任せでいいのかという視点からの質問でした。

自転車政策については、撤去だけではなく駐輪場の整備など
自転車利用者がより便利に自転車を使えるようにしていくべきとの視点で質問しました。
もちろん撤去を全て否定するものではありませんが、
事業者に駐輪場をもっと設置させるよう、誘導する政策が必要だと思います。

国の直轄負担金は、民主党政権下で廃止の方向で議論が進んでいます。
京都市にとっても廃止がいい方向であることを確認しました。

ほかの議員の議論で印象に残ったのは、
京都市内の細い道をどうしていくべきか、という議論でした。
コミュニティを重視して細い道のまま、家を建て替えたりできるようにして、今の細い道を生かしながらまちづくりをするか、
防災面を考え、路地をなくし道を広げていくべきか、重要な議論だと思います。

他には
・街区公園に高齢者の集い機能を持たせるべきでは
・高速道路計画
・船岡山公園をずっと借地し続けることの是非
などが質問されていました。

10月13日決算第二分科会 都市計画局

分科会の4日目は都市計画局に対する質疑です。
この日は、平成の京町家について、町家の保全について、京都の三山ガイドラインについて質問しました。

片桐:平成の京町家事業の認定が伸びない理由は何か。
答弁:仕組みが十分整わないところがあった。メリットを増やし、わかりやすく普及させていきたい。

片桐:古い町家を残していくことは難しくなってきているが、どうやって保全していくか。
答弁:町家の価値は建物だけでなく暮らしの文化である。不動産信託の活用なども検討していく。

片桐:三山景観ガイドラインの目標達成に向け、もっとボランティアなどと協働していくべきではないか。
答弁:市からもっと働きかけていきたい。

私の感想ですが、町家の保全はまだまだ不十分です。市として町家の景観や文化を残したいという気持ちはとてもよく理解できるのですが、実際維持していく方にとっては負担は大変です。
なんでも補助金を出せばいいというものではないのですが、やはり経済的な負担軽減をしないと町家を残すということも、新しい平成の町家を建てることも難しいと思いました。
三山のガイドラインについては、市民や大学などとの連携が示されていますが、具体化はこれからです。
もっと市から「一緒に取組もう」という働きかけをしていただきたいなと思いました。

他の方の質問には
①市営住宅の管理について
②LRTの導入について
③狭い道路の対策
④歩くまち京都の推進
⑤らくなん進都のまちづくり
などについて質問が出されていました。

2011年10月16日

10月11日決算第二分科会(保健福祉局)

この日は決算の保健福祉の2日目。
私は、京都府生活衛生業務指導センターへの事前指導の委託や
鍼灸マッサージ関係団体への補助金について、必要性や効果の検証をどうするかについて質問しました。

事前指導の委託は新しく飲食店などを営業したい人が、相談する業務です。
市役所でもできることを業界団体へ委託するのは、他都市でもあまりなく不要な業界支援ではないかと指摘しました。
鍼灸マッサージ関係団体の補助金も、市民に効果が見えにくい補助金です。
あまり前向きな答弁はありませんでしたが、継続して取組みます。

私は他に、市営墓地の環境整備を求めました。

他の議員の質問には、
高齢者虐待の対策や包括支援センターのことなどが質問されていました。

2011年10月12日

10月7日決算委員会第二分科会

この日は、保健福祉局に対する質疑の1日目でした。
私は代表質問の関係で高齢者の居場所づくり、認可外保育所の支援、公共の場所以外での子育て環境整備について質問しました。

おおまかに質問答弁まとめます。

(高齢者の居場所関連)
片桐:代表質問への答弁で、老人クラブハウスの運営を見直すというご答弁がありましたが、どのように見直されますか?

答弁:
70,80代の方が要介護状態にならないように、場を作っていく必要性は感じています。幅広く集まる場にしていきたい。

(保育関係)
片桐:
待機児童対策には、保育所の増設だけでなく認可外保育施設と組み合わせて、保育ニーズに応える必要があると思うが対策はされているか。

答弁:
実態調査をしている段階。これから検討していくが、基本的には一定の水準がある保育所が必要だと考えている。

(子育て支援関係)
片桐:おむつ交換場所の設置は
公共施設だけでなく、民間のショッピングセンター等も支援が必要ではないかと考えるが、どのようにやっていくのか?

答弁:100人委員会で提言をいただいたところもあるので、今後研究していきたい。

特に保育に関しては、いままでの市会、特に自民党や共産党は待機児童対策で保育所の増設ばかり求めてきました。
しかし、保育所を増やすには多くの予算を必要とします。
これからの時代、保育の担い手が多様化すべきだと考えます。
事業所内保育や認可外保育所で保育の役割を一定担えればよいと思って質問しましたが、
まだまだ保育所を中心とした政策なんだなと感じました。

この日は他の議員の主な質問としては
・待機児童対策
・看護短大の今後
・生活保護のあり方
・障害者の就労支援
・2人乗り自転車の貸し出しについて
・国保会計について
などが質問されていました。


2011年10月8日

代表質問全文

平成23年9月市会定例会 代表質問

 私は北区選出の片桐直哉でございます。民主都みらい京都市会議員団を代表いたしまして、鈴木マサホ議員、山岸隆行議員に引き続き、市政一般について質問をさせていただきます。4月10日に行われました市会議員選挙において、多くのみなさまのご信託をいただき、当選をさせていただきました。すべての京都市民の代表として、本日、初めてこの京都市会本会議での代表質問に臨ませていただきます。
 これからの京都のかたちがどうあるべきか、未来の京都に対しての夢と、その実現のための具体的な課題を持って、この市会の場で議論を深めさせていただきたいと思っております。市長、ならびに理事者の皆様には、しっかりと御答弁賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 それではまずはじめに、門川市長が就任以来進めてこられた、市民と行政が共に汗する「共汗」の取組の成果と今後の課題について、質問をさせていただきます。
 これまでの門川市政において最も重要視されてきたキーワードは、市民と行政がともに汗する「共汗」という言葉であったと私は思います。
 昨年末に策定された「はばたけ未来へ!みやこプラン」においても、都市経営の理念として「生活者を基点に参加と協働で地域主権時代を切り拓く」という考え方が謳われております。
 これまでに、のべ9万人にのぼる共汗サポーターが様々な市政の現場で、「行動する市民」として活躍してきました。それら多くの行動の成果をもとに、本年3月には第二期の京都市市民参加推進計画がまとめられました。今後より一層「参加と協働」を深め、京都の新しいまちのかたちを作っていくべき時期にきています。
 これまでの市民参加といえば、その役割は市民が課題を発見し、行政に伝え、行政が解決をしていくことでした。しかし、それでは市民の要求はどんどん膨らんでいき、行政の仕事は肥大化するばかりです。
 同時に、市民が行政に要求するばかりでは、市民の力そのものが弱くなっていきます。行政に協力する『参加』ではなく、市民自身が問題意識を持ち、自治の主体となることが重要なのであります。
 基本計画にもあるように、市民が自ら公的な役割を担っていく時代を、我々京都市民は目指そうとしています。これからの行政が果たすべき役割は、自分たちで全てをやっていくことではなく、市民が力をつけ、公的活動を担えるような仕組みを作っていくこと、担い手となる人たちを育てていくことであります。これらの課題は、決して市民参加、協働という分野のみの限られた問題ではなく、京都市全体、行政全体の課題としてとらえ、取組まねばなりません。そういった意識から私は、初めての代表質問でこの問題を取り上げました。
 私自身、共汗の取組の代表例である京都市未来まちづくり100人委員会で、第2期の1年間一緒に活動させていただきました。年配の方や学生、長年地域に暮らしてきた方やつい最近京都に来られた方など、問題意識や解決方法も、それぞれ違う市民の方々と一から議論し、自分たちでできるアクションを作り上げていきました。難しさもありましたが、その先に自分たちの手で京都を良くしていける、その可能性を強く感じました。
 100人委員会をはじめとして、これまでの共汗の取組の成果は、まず一つには、京都をよくしたい、行動したいという市民がつながったことであると思っております。こうした取組がなければ出会わなかった人が出会い、一緒に京都の未来を考え行動しようという動きが生まれました。2つ目として、市民が要望して行政にやってもらうということではなく、自分たちで行動するという考え方が、参加した市民に生まれたこと。そして3つ目には、共汗サポーターという制度があったことで、これまで公的活動へ一歩を踏み出せなかった市民の方々が、参加し協働する、きっかけづくりになったことであります。
 しかし、私が先ほど申し上げたような、市民が自分たちで公的な役割を担っていく時代を築いていくためには、まだまだ課題を克服し、進化させていかなければならないところがたくさんあります。
 まず、行動の広がりです。共汗サポーターが、その責任感や義務感だけで、一人一人で行動をしていても広がりは生まれません。行政に協力する共汗サポーターから、市民主体の自分たちの活動として、もっと新たな市民を巻き込んでいく、そういう広がりをつくっていかねばなりません。
 2つ目の課題は、市民主体の活動が、持続的に質の高いレベルを維持できるかということであります。市民と行政で、どのように情報を共有しあうのか、行政による助成のあり方など、活動を支えていく仕組みづくりをどのように行うのか、民と民の間での活動支援の仕組み作りに、行政がどこまで関わっていくのか。全庁的に検討されなければならないと思っております。
 今年6月に国会で成立した改正NPO法により、これまで京都府が担っていたNPO法人の認証業務は、京都市内のNPOについては来年度から京都市に移管されることになりました。また、寄付の優遇を受けられるNPOについてもその基準が大きく緩和されたことによって、NPO法人の財政運営上の課題が解消され、活動がさらに活発化することが期待されています。この機をとらえ、京都市がいままで以上に市民活動団体と向き合う必要があると思います。
 3つ目の課題は、共汗・市民協働の取組で生まれた人のつながりや、参加のきっかけを得た市民に、学区や町内会などの住民組織の中でどのように力を発揮していただくかという問題です。市民の生活スタイルや行動範囲が多様化し、住民組織だけでなく、NPOや企業、大学など多くの主体が関わる新しい地域コミュニティの姿を構築していくということは、全市的な課題であります。担い手の発掘と、持続的な住民活動をつくっていくために、共汗の取組で得られた参加と協働を生かしていっていただきたい。
 そのためには、今まで狭い範囲で閉じてしまっていた住民組織の殻を破り、地域に暮らす人と、志や専門性を持って活動する人同士をつないでコーディネートしていく存在が必要です。
 そこでおうかがいいたします。協働の取組に新たな市民を巻き込み、行動の広がりをつくっていくために、参加意欲の高い人材の発掘や、他の市民に活動が伝わる仕組みをどのようにつくっていかれるのか。活動のきっかけを得た市民が、今後さらに参加と活動を続けていくために、行政としてどのように関わっていこうとされるのか。共汗・市民協働の取組で生まれた人のつながりや、参加のきっかけを得た市民を、学区や町内会などの住民組織と、どのようにつなげ、地域コミュニティの活性化を目指していかれるのか。お考えをお聞かせください。また、今後、共汗・協働の取組をより行政区など小さな範囲まで深めていくにあたっては、行政区や学区の枠にとらわれず、共通の目的を持って人が集まり、活動に広がりが生まれることとの両立をしっかりはかっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 続いて、京都をとりまく山の環境の保全と、森林資源のエネルギー活用について質問いたします。京都は、北山・東山・西山の山々に囲まれ、そこから流れ出す水の恵みに溢れた、まさに「山紫水明」という言葉の似合う美しいまちであります。
 しかし、いまその京都の山々の美しさ豊かさは大変な危機に瀕しています。かつては山の木を切って家を建て、炭や薪として使い、そうした人の手が入ることによって、山の環境は守られていました。京都の伝統的な祭りや食文化もまた京都の山々の恵みによって支えられてきたのです。
 しかし、今では京都の街のくらしと、京都の山の恵みとのつながりが切り離されてしまい、人の手が入らなくなってしまったことによって、京都をとりまく山々の荒廃が広がっています。間伐などもされないまま、細い木ばかりが並ぶ放置林。東山で広がるナラ枯れや、増えすぎた鹿などの動物による食害。豊かな自然が姿を消しつつあるのが現状です。
 私たち市民の暮らしと、京都の山々の恵みとを再び結びつけ、京都の美しい山を復活させ、守り伝えていかなければなりません。
 山を守っていくために必要な施策は多岐にわたりますし、森林資源の利用促進についてもいくつもの形がありますが、今回は特に、木質バイオマスのエネルギー活用について質問させていただきます。
 今年、東日本大震災そして福島第一原発の事故があり、全国的な電力不足に見舞われました。私たちの身の回りにある資源にもっと目を向けよう、再生可能エネルギーをもっと利用しようという大きな流れができています。天候に左右される風力や太陽光と違い、バイオマスは需要にあわせて使うことができるほぼ唯一の自然エネルギーであります。間伐材など利用の進まない森林資源を、需要の大きいエネルギー源としてもっと利用することによって、産業としての林業を底上げできれば、山間地での雇用創出、地域活性化にもつながります。資源の活用と京都の山の環境を守る。この2つをつなげていくことは、まさに「環境モデル都市」にふさわしい京都の姿だと私は思うのであります。
 これまでも京都市においては、「木の文化を大切にするまち・京都」市民会議や、昨年まとめられた農林行政基本方針の中で、市内産木材の利用拡大や、木質ペレットの普及などの政策が打ち出され、実行されてきました。しかし、まだまだ市民が京都の山の恵みを暮しに使うということが、十分に広まり定着しているとは言えない現状です。特に、森林資源のエネルギー利用が、一般の市民にとって身近なものには、まだなっていません。
 一人ひとりの市民や企業が、最初から莫大な投資をして森林資源をエネルギー活用するというのは、なかなかできるものではありません。こうした初期投資に大きなコストのかかる取組こそ、行政が役割を果たしていくべきです。
 もちろん、厳しい財政状況の中で、予算の制約もあれば、採算のとれるエネルギー活用になるかどうかといった、多くの課題があることは認識いたしております。しかし、電力不足を経験し、クリーンエネルギーの開発に進んでいかねばならない今、これまで、京都市で検討され、実施されてきた政策メニューを上回る取組が必要であると思うのであります。加えて、京北につくられたペレット工場を有効活用する意味でも必要な政策であると考えます。
 今後あらたに京都市として、従来の熱利用の促進に加えて、京都市内で木質バイオマスによる発電に取組み、市内で使用される電力の一部を賄うということに、一歩を踏み出していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。市内の何千世帯かの年間電力消費量に相当する電力を、京都の山の恵みによって生み出す。このことは、環境への意識啓発、ライフスタイル転換の促進として、大きなインパクトを市民に与えるのではないかと思いますが、どう思われますか。「再生可能エネルギー特別措置法」が制定され、国の政策が大きく転換され、再生可能エネルギーというものに、日本全体が関心を持っている今この時だからこそ、山と森と社会そして人間の新しい関係を築いていくために、やらなければならないのではないでしょうか。お考えをお聞かせください。
 次に、本市の小中学校における学期制の改革に対して、その取組の成果と課題について質問いたします。
 学校の3学期制は、明治以降長くわが国の地域社会に根付いてきた教育制度でありました。その百数十年続いてきた三学期制を、前期と後期の2学期に分け、秋を区切りとする二学期制へ移行する改革が、本市においては、平成15年度から試行され、平成18年度からは全校で実施されるようになりました。
 さらに本年3月には規則改正で通年制の選択的導入が打ち出され、早速本年度からは、学期を区分しない「通年制」も一部の学校で導入されることになりました。小学校では、今年度はほぼ全ての学校が2学期制のままではありますが、中学校においては、73校のうち38校が「通年制」へと移行しています。
 このように本市の公立小中学校においては、早いペースで学期制の改革が進められています。しかしながら、従来の3学期制のどこに問題があったのか、その問題は、2学期制にあらためたことで解消されたのか、2学期制に移行したことで何がよくなったのか、そしてなぜ通年制を新たに導入することになったのか、それらが、しっかりと保護者や市民に説明され、理解されている状況にあるとは思えないのであります。京都の子供たちの教育の向上に、これまでの改革がどのように寄与したのか。それをしっかり説明し、保護者の不安や戸惑いを取り除き、理解と協力を得ていくことは教育委員会や学校の責務です。
 そこで、おうがかいいたします。2学期制へ完全移行した後の5年間で、どのような点が以前よりよくなったのでしょうか。そして、どのような部分で改善すべき点があったのか。新たに選択的導入された通年制では、どのような点が、2学期制より改善させることが期待されるのか。そして、どのような理念を持って、改革が進められていて、将来的には、京都の学校の学期はどのような形になっていくのか。それによって、子供たちの教育がどのようによくなっていくのか。お考えをお聞かせください。
 続いて、地域での高齢者の居場所づくりについて質問をいたします。私も地域で70代、80代の高齢の方から、この居場所づくりにぜひ取組んで欲しいという声をよくお聞きします。
 多くの高齢者の方は、あまり自分から積極的に出かけようとはしません。一日、誰とも話さない、そういう高齢の方も多くおられます。身体的には自立が可能であっても、閉じこもりがちになってしまう高齢者への対応は、地域福祉の課題になっています。
 私自身も、これまでずっと北区内の大学や、小学校で高齢の方と一緒に簡単な音読や計算をすることで、認知症を予防しようという活動に関わってきました。そうした場で、普段話す機会のない若者と話をする。そのようなきっかけをもつことで、参加されている高齢の方の表情が、毎週お会いするたびに明るく、そして口数が増えていく。何人ものそうした姿を見させていただきました。
 高齢者が喜びを持って日々生きることができるようにしていくためにも、認知症や身体機能の衰えを予防し、介護が必要な状態になることを防いでいくためにも、高齢者が、自分たちの身近な場所で外出し、人と話し、ふれあうことのできる場所を、もっともっと、たくさんつくっていかなければならないと考えております。
 これまでも、介護予防の教室や、社会福祉協議会の健康すこやか学級や、公園で体操など、いくつかの取組がされてきました。現在、検討がすすめられている第5期京都長寿すこやかプランにおいても、主な施策として高齢者の身近な居場所づくりの推進が盛り込まれる方向で、検討されているとお聞きしております。
 少しずつ取り組みは始まっている段階であると認識いたしておりますが、女性に比べて男性が圧倒的にそうした場に少ないことや、高齢者が幅広い年代の方と話す機会を十分にはつくれていないこと、決まった日の、決まった時間にしか、開けないことなどの課題があります。私は、誰かに会いたい、誰かと話したいと思ったときにいつでも行ける場所、常設型の場所が、増えていくことが必要だと考えておりますが、常設型で、地域の高齢者の方を迎えられる居場所づくりの必要性をどのように認識しておられますか。
 また、こうした居場所づくりにあっては、高齢者にサービスを提供する場、高齢者のための居場所という発想では不十分だと考えます。自分がしてもらうだけではない、世代を超えて人が集まり、高齢者の方もその一員として、自分も役割のある場をつくることが、生きがいにつながるのではないでしょうか。こうした居場所づくりこそ、市民が自ら行動して解決していくことができる身近な課題であります。市民の力を引き出し、それを行政がしっかりとサポートする。たとえば自分の持っている空き家を活用したい、カフェや食堂を改装して、居場所としての機能を持たせたい、そうした取組を支援し、高齢者の地域での居場所を発掘していくことに取り組んでいただきたいと思いますがいかがでしょうか。
 最後に、要望を2点申し上げます。1点目は、東日本大震災で発生した災害廃棄物の処理についてであります。市民の安心安全を守るため、もし国の要請によって本当に受け入れるということになった場合には、国が示す基準や検査方法だけにとらわれることなく、近畿の4政令市とも協調して、しっかりと検査し、汚染されているものを受け入れないということの徹底を、お願い申し上げます。
 2点目は、山間地での市民の足の確保であります。私の選挙区である北区の雲ヶ畑では、来春に京都バスが撤退する意向を示しています。この地域だけではありませんが、歩くまちを推進する京都市内にあっても、実際には自動車なしでは生活できない地域に住む住民は少なくありません。子どもや高齢者など、自動車の運転のできない住民が、生活の不便さから、そのような地域に「住み続けたいのに住めない」ということにならないよう、山間地の住民の足の確保のために、何らかの対策を講じていただきますよう、お願い申し上げます。
 以上、議員団を代表いたしまして、私からの質問といたします。
 ご清聴まことにありがとうございました。