あまりまとめて書く機会がありませんでしたが、今の「アベノミクス」というものについての私なりの考えを簡単にまとめます。
まず、これからの日本経済にとって一番大事なことは、産業構造を大きく転換していくということです。
私がまだ小学生だった頃、社会の教科書には「日本は加工貿易の国」だと書かれていました。
元号が昭和から平成に変わる直前です。
ロボットで車を組み立てる工場のビデオを見たり、製鉄所に社会見学に行ったりしました。
円安になれば日本のモノづくり産業の競争力が上がり、国内の経済を成長させる。
今もこれがあてはまるということは、日本は産業構造がまだ昭和から抜け出せていないということです。
今、各種の論文などを読み込んでいますが、今後日本経済が成長していくためには、そういう産業構造の転換を図っていかなければならないというのが、多くの論文に共通した考え方ですし、私も同じ考えです。
安倍政権が進める経済政策は、この産業構造転換を目指したものでしょうか。
結局衰退産業を保護するために、円安誘導と財政出動をしているように思えてなりません。
自民党の議員の多くが、既得権に守られた業界団体に支えられていることを考えれば、大胆な産業構造転換を進めることは不可能でしょう。
結果は、日本がゆるやかに衰退をしていくしかありません。
もちろん、私は民主党政権の3年間においても、期待したほど産業構造の転換には手が入らなかったと思っています。
政権を目指して組織を大きくしていく過程、そして与党になって、組織政党、これまで自民党を支援していた団体を取り込もうとしたときに、なかなか大胆な政策を打ち出せなかったのだと思います。
しかし、さまざまな団体と対話はしても、そこから本当に日本に必要なものは何かを考え、行動することが政治家の責任です。
もちろん、急激な産業構造転換は弊害も多くあります。
そこには雇用があり、働いている方が急に違う仕事に移ることは不可能です。
そのため劇的な産業構造転換はできません。
政策を安定させながら少しずつ、変化を積み重ねていくしかないのです。
公共事業費が圧縮されてきた今までの流れを急に逆転させ、また多くの公共事業費を投入することは、この点からも疑問です。
結論を言えば、「アベノミクス」は日本の経済戦略から見ればマイナスの影響が大きいと思います。
大胆な産業構造の転換を志向しながら、少しずつの変化を促す政策をとっていくべきだと私は考えます。